自由遊戯黙示録

フリーゲーム/インディーズゲームをディープに語る

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さめがめ:語られることなき偉業

『さめがめ』。

その名はフリーゲームを探したことのある人間ならば、誰しも一度はお目にかかっているであろう。
もはや定番過ぎて語られることすら無いフリーゲーム定番中の定番である。
しかし、フリーゲーム全体を歴史的な視点で紐解いていくのならば、ある偉業を成し遂げたフリーゲームの究極形のひとつだと断言することができる。

『さめがめ』の原型は1985年に森辺訓章こと"もりすけ"氏が公開した『ChainShot』で、改良を加えられて1992年にUNIXやPC-98で『SameGame』となって発表された。
『さめがめ』の名はタイトルのsame game(セーム・ゲーム)をローマ字読みしたものが由来である。

samegame_00.jpg
※画面はW.Yossy氏作のPC-9801版『SameGame』

『さめがめ』のルールは次の通りである。

ゲームを開始すると、色とりどりのコマが画面上に敷き詰められており、同じ色のコマが2つ以上つながっていれば、そこを選択して消すことが出来る。
より多くのコマが繋がっていれば高得点を得ることができる。
コマが消された後、上に乗っているコマは下に落ち、縦一列が消えた場合は左詰めされる。
消せるコマが無くなったらゲーム終了となる。

samegame_01.jpg
・コマの配置はランダムに決定される

samegame_02.jpg
・同じ色のコマが繋がっていれば選んで消すことが出来る

samegame_03.jpg
・コマを消すと、上のコマが落ちてくる。これを利用するのが高得点のコツ

制限時間などは無いので、じっくり腰を落ち着かせてプレイすることができる。

また、『さめがめ』のカスタマイズ機能として、コマの絵柄を作成・変更することが可能になっている。
このため、当時流行したアニメのキャラクターのものなど、様々なコマのデータがパソコン通信上で公開された。

samegame_04.jpg
・コマの選択画面

『さめがめ』の特徴はそのルールのシンプルさにある。
さらに、ハイスコアを狙う際はコマの消し方に頭を働かせる必要があり、パズルゲームとしての奥深さも併せ持っている。
『さめがめ』は老若男女を問わず広く受け入れられ、それを象徴するかのように様々な機種のコンピュータに移植された。
また、第3回フリーソフトウェア大賞・アミューズメント部門の受賞作品となり、フリーゲームの単純なパズルゲームでありながら攻略本が刊行され、果てはハドソン社によってスーパーファミコン・ゲームボーイに移植されるという一大センセーションを巻き起こした。

samegame_05.jpg
・ハドソンSFC版『鮫亀』。衛星放送サービスに対応し、メモリーカードで駒を変更できる

そう、『さめがめ』は「商品化されたフリーゲーム」の先駆けともいうべき存在なのである。

2000年以降、フリーゲームやインディーズゲームが家庭用・業務用のゲームと肩を並べるだけの技術力がついたことで急速に注目を集めるようになったが、個人製作のゲームがムーブメントを起こし、大きく発展するのは別に今に始まったことではない。
特に『さめがめ』登場の1990年代前半当時は、家庭用・業務用ゲームと個人製作ゲームとは開発力の差が開いている時期で、そのような時期でありながら『さめがめ』は大きな注目を浴びていたのだ。

そしてそれは、「個人製作」「無料」であることから来る卑下した言説が事実無根であり、ありとあらゆるビデオゲームと対等に並び評され、世界の視線に耐えうるだけの物を『さめがめ』が、フリーゲームが持っているという何よりの証明に他ならない。


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  1. 2007/06/29(金) 22:28:31|
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X Operations:一人称視点射撃への挑戦

パソコンゲームの花形、ファースト・パーソン・ビュー・シューティング・ゲーム(First Person-view Shooting:FPS)。
『Wolfenstein 3D』や『DOOM』を祖とするこのジャンルのゲームは、海外の気鋭ゲーム・ディベロッパーが送り出す超大作同士が日夜しのぎを削る。

そのFPSにフリーウェアとして果敢に挑んだのが『X Operations』(エックス・オペレーションズ)である。

xops_00.jpg


xops_01.jpg


FPSとしてはかなりスタンダードな作りとなっているが、武器は2種類までしか持つことができない、1発の銃撃で死亡しうるなど、FPSの金字塔である『Counter Strike』からの影響が散見されている。
正面から突撃し敵を次々薙ぎ倒す映画『ランボー』的な戦い方はなかなか通用せず、むしろ物陰を使いスパイのように敵に気付かれないように行動する事を考えなければならない。

xops_02.jpg
・敵に気付かれないこと。敵を先に見つけること。それが大切

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・ワンショット・ワンキル。2発目は無い物と思え

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・やられた…

用意されているミッションは敵の殲滅、狙撃、味方の護衛、あるいは脱出など、バリエーションが豊富である。
ミッションの1つ1つの長さも短めで終わり、中だるみしにくい。
中にはゾンビやアンドロイドと戦うことができるユニークなステージも存在する。

xops_05.jpg
・ミッション内容は正義の味方とは限らない

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・迫り来るゾンビ。『バイオハザード』を連想させるシチュエーション

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・パソコンルームでの戦い


『X Operations』が登場した2003年以降、市販ゲーム級の規模と水準を持つFPSタイトルがいくつも無料公開されるようになった。
例を挙げると、製作途中でお蔵入りとなった『Return to Castle Wolfenstein』の拡張パックを一部抜粋した『Wolfenstein: Enemy Territory』、
アメリカ陸軍が入隊プロモーション用として製作した『America's Army』など。
これらのタイトルと比較してしまうと『X Operations』のクオリティは流石に低いものだと言わざるを得ない。

また、商業作品のFPSにはキャラクターモデルやマップをユーザー独自に作成・変更が可能な「MOD」機能を搭載されていることがほとんどである。
よほどの事情でも無い限りFPSのゲームエンジンを一から構築する必要性は皆無で、それは『Counter Strike』が『Half-Life』のMODでありながら全世界で最も広く遊ばれているFPSに成長した事で既に証明されきっている。


しかしながら、技術力・開発規模・競合率などの様々な面で製作の敷居が高いFPSに個人製作レベルで挑むという志の高さ、チャレンジング・スピリットは高く評価されてしかるべきである。
それに『X Operations』にはFPSの銃撃戦の面白さや独自性がキチンと盛り込まれており、ゲームプレイの面で市販タイトルに何ら劣ることは無い。

何より、FPSが未だフリーゲームで見かける頻度が極度に少ないジャンルであるだけに、『X Operations』はフリーFPSの先駆者の一人として堂々たる存在であリ続けることだろう。

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  1. 2007/06/28(木) 01:24:17|
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GearHead:鋼に宿る生き様

荒くれ者には、勇者が剣と魔法で魔王を倒す御伽噺じゃ物足りない。
もうずっとこんな世界を待ち望んでいた。

『GearHead』(ギアーヘッド)は、超重量級歩行ロボット”メック”を駆って世紀末を戦うサイバーパンクroguelikeゲームだ。

gearhead_00.jpg



戦闘用ロボットが”メック”(原語では"mecha")と呼ばれていることからも判るように、『GearHead』の戦闘システムは『BattleTech』をはじめとするボードゲームから多大な影響を受けている。

例えば、森林や高台などの地形がある。
森林では視野が通りにくく、爆弾などが爆発すれば火が付き煙が発生する。
高台の上では見通しが良く攻撃の狙いがつけやすい。
などの特徴があり、地形を駆使して戦うことが重要な要素のひとつとなる。

戦闘の主役となるメックは人型、動物型、戦車型など様々なタイプがあり、それぞれ異なる特性を持つ。
また、メックは胴体・頭・腕・脚などのパーツに分かれ、それぞれが部位に合わせた機能を持っており、戦闘では特定のパーツを狙い撃ちすることができる。
これを使い、敵の脚を狙って破壊して相手を転倒させる、といった戦法を取ることが可能となっている。

装備することができる武器も、レーザー砲、粒子砲、マシンガン、磁力銃、ミサイル、ビームソードなど選り取り見取り。
更に、そうした武器やパーツ類は商店で購入するだけでなく、倒した敵メックの残骸からパーツを回収して自分のメックに装着することができる。
敵から入手したパーツをそのまま取り付けるのか、それとも売り払って換金し、別のパーツや最新鋭メックの購入費用に当てるのか、はたまた修理代や弾薬費にして次の戦いに備えるのか。
ゲーム全編を通して金銭を何に使うかがなんとも悩ましい。

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・高台から狙撃!頭を射抜いて敵のセンサーを潰せ

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・拡散ミサイル、全段発射!複数の敵機を一網打尽に

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・煙幕を張って目を眩ませつつローラーダッシュで接近、ビームソードで強襲!

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・愛機をカスタマイズ。ロボット好きの男子にはもうたまらない

『GearHead』はメックによる戦闘だけでなく冒険も充実している。
プレイヤーは戦争で荒廃した後の近未来世界で、メックを中心とした生活を営むことになる。

企業戦士としてライバル企業との抗争に明け暮れる、
アリーナ(闘技場)で最強のパイロットを目指して戦う、
武装を固めて一匹狼の賞金稼ぎとなる、
頭を丸めてカンフーに励み肉体の限界を極める、
日夜怪しいメカを作りまくるエンジニアになる、
路上ミュージシャンからオリコンチャートを目指す、
世界中に点在する旧世紀の遺跡を探索する、
スリや強盗を繰り返し悪党として名を馳せる。

そうした様々な生活を「スキル」の習得による成長が演出する。
「スキル」は経験値を消費することで新たに習得・成長させられるほか、普段から「スキル」を利用することでも成長する。
そして「スキル」が成長すれば、スキルを利用する際にボーナスが得られる「タレント」の習得が可能になり、自分のキャラクターがより個性的なものになっていく。

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・電子ロック式の財布を発見。持ち主を探して届ける?それとも鍵を破ってネコババ?

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・洞窟を探検。核戦争の後遺症たるバイオ・モンスターが闊歩している

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・スキルは大学で学ぶこともできる。授業料?メックで稼げ!

他にも面白いのが「負け犬」の存在だ。
プレイヤー・キャラクターの体力がゼロになった場合、病院に担ぎ込まれて復活という形をとる。
しかし復活によってキャラクターの名声が低下し、頻繁に野たれ死んでいれば「負け犬」の烙印を押されることになる。
敵メックにやられて依頼に失敗、メックは大破、おまけに評判がガタ落ちともなれば正に「負け犬」。
さらに追い討ちをかけるように、その「負け犬」には「汚い仕事」が押し付けられたりするのである。
近年の日本では勝ち組・負け組の論争が頻繁に行われるようになったが、それをゲームに取り入れるという着眼点はあまりにも鋭く、先進的と言わざるを得ない。

gearhead_08.jpg
・なんだって下水道掃除なんか…

一応、旅の目的が無いわけではなく、『GearHead』にも一般的なコンピュータRPGと同様にメインストーリーと最終ボスが存在している。
しかしメインストーリーを無視して冒険をしていてもかまわないし、最終ボスを倒した後であっても冒険を続けることが出来る。
またそのメインストーリーにしても、結末こそ1つだが、そこに至るまでの過程はキャラクターの生い立ちや行動によって様々に変化するようになっている。


roguelikeゲームの常としてシステムが複雑であり、『GearHead』特有の自由度も合いまってゲームを始めたての時は何をして良いのかが分かりにくく、取っ付きの良いゲームとは言いがたい。
また、他のroguelikeゲームと比較して迷宮があまり複雑でないなど、roguelikeとしての要素はやや弱い。
なにより『GearHead』は西洋中世ファンタジー風の世界観のゲームが多いroguelikeゲームの中において異色の存在だ。

しかし「戦闘ロボットで戦う」「戦闘ロボットをカスタマイズする」だけでなく、「戦闘ロボットで生活する」という点が他のコンピュータRPGやロボットアクションゲームに無い深みを与えている。
『GearHead』には世紀末世界の日常があり、ありとあらゆる生き様がある。

そして、その生き様を決め、物語を形作っていくのは他ならぬ己自身なのだ。
これが面白くないわけが無い。


現実生活でチョコレート・バーを買い求めるようになったら、もう一丁前のメック戦士である。


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  1. 2007/06/26(火) 00:10:44|
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roguelikeの夕べ:最も古く、最も奥深く

時はまだビデオゲームそのものが黎明期であった1980年。
アメリカの大学で利用されているUNIXコンピュータ上で、大学生達の手によってひとつのゲームが開発された。

ランダムに生成される迷宮の中を探索し、襲い掛かるモンスターや食料の調達に頭を悩ませながら、最下層にある財宝「イェンダーの魔除け」を入手するというゲームである。
ゲームオーバーになったら再び最初からというシビアさ、アイテムの効果が使うまでわからないというスリル、迷宮のランダム性によってプレイするたびに展開が異なり、何度でも飽きることなく遊べるという点が人々の熱中を誘った。

そのゲームの名前は『Rogue』(ローグ)。
『Ultima』『Wizardry』と共に、コンピュータ・ロール・プレイング・ゲームの始祖とされる存在である。

『Rogue』公開から現在に至るまで、『Rogue』の系譜を持つゲームがフリーウェアやそれに近い形で多数公開されており、"roguelike"(『Rogue』風)ゲームという一大ジャンルを形成している。
日本のゲーム・プレイヤーには、チュンソフト社『トルネコの大冒険』『風来のシレン』等の『不思議のダンジョン』シリーズを思い浮かべてもらえば判りやすいだろう。

次に代表的なroguelikeゲームを紹介する。
いずれも一生涯をかけてプレイすることの出来る強敵ばかりである。



○Rogue Clone

rogue_clone.jpg

『Rogue』はソースコードが公開されておらず、一説には紛失されたとも言われている。
そこでオリジナル『Rogue』の動作を解析して『Rogue Clone』(ローグ・クローン)が開発、頒布された。

オリジナルの『Rogue』に最も近く、いわばroguelikeのクラシックだといえる。
グラフィックも当時のままなので、時代に想いを馳せるのもよいだろう。



○NetHack

nethack.jpg

『Rogue』の直系とも言える存在が、『Rogue』のコピーゲーム『Hack』がネットワークを通じて発展した『NetHack』(ネットハック)である。
『NetHack』の世界は『指輪物語』や『ダンジョンズ&ドラゴンズ』をはじめとした様々なファンタジー作品を基盤としている。

『NetHack』の特徴はギミックやアクションの多さにある。
例えば、モンスターの「狼男」は銀に弱く、満月の夜にはずっと変身している。
手を拭くのに使うアイテム「タオル」も、「身に着ける」と目隠しになる。
薬の瓶を泉に浸すと薄めて水にすることができる。
といった具合である。

『NetHack』のプレイではプレイヤー自身の「知識」「経験」「運」が物を言う。
非常に複雑なゲームなため、ネットワーク等を介して情報交換が行われたり、スポイラーと呼ばれる攻略文章が執筆されている。
こうした文章に触れるだけでも『NetHack』の奥深さを知ることができるだろう。



○Angband

angband.jpg

対して、『Moria』と言うroguelikeゲームを元に発展したのが『Angband』(アングバンド)である。
『Angband』では、J.R.R.トールキン『シルマリルの物語』に登場する同名の地下要塞が舞台で、地下100階に潜む冥王モルゴスを打ち倒すことが目的となる。

様々な名前の入った強力なアイテムと、ユニーク・モンスターと呼ばれる強敵が数多く登場し、力と力のぶつかり合いが展開される。
アイテムを集めてキャラクターを強化していく育成ゲーム的な側面が強いが、
roguelikeの肝である「死んだら最初から」というルールは『Angband』にも適用されるため、自らの能力を把握し、進むか退くかの判断を的確に下すことが重要となる。

ヴァリアントと呼ばれる派生版が多いのも『Angband』の特徴である。
ヴァリアントにはアイテムやモンスターを追加したもの、システムに改良を加えたもの、果ては世界観までガラリと変えてしまったものなど様々。
日本国内では各種ゲームや漫画・アニメの世界観をごった煮にしたヴァリアント『変愚蛮怒』(ヘングバンド)が人気である。



○Dungeon Crawl

dungeon_crawl.jpg

『NetHack』『Angband』 に次ぐ第3のroguelikeが『Dungeon Crawl』(ダンジョン・クロール)である。
初出は1997年と、roguelikeゲームとしては比較的新しい部類となる。
ダンジョンの奥深く、「ゾットの領域」内で護られている「ゾットのオーブ」を奪取し、地上に脱出することが目的。

「ゾットの領域」の封印を解く為のハードな戦いに加えて、12の神々のうちからどの神を信仰するか選べるなど、独特な世界観が魅力となっている。
ダークな雰囲気ゆえにやや取っ付きにくい面もあるが、後発だけにバランスが良く、知恵と力を駆使した臨機応変なプレイを楽しむことができる。


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  1. 2007/06/16(土) 02:01:25|
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CardWirth:テーブルトークの帰還

テーブルトーク・ロール・プレイング・ゲームをご存知だろうか?

日本ではスクウェア・エニックス社の『ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー』に代表されるようなコンピュータ・ロール・プレイング・ゲームが先立って発展したため、あまり広く知られてはいないが、
元々のロール・プレイング・ゲーム(RPG)とは、審判役となる「ゲームマスター」と、幾人かのプレイヤーでテーブルを囲み、紙とペン・サイコロを片手に各々が演技(ロール・プレイ)を行って楽しむ「テーブルトーク」スタイルのゲームであった。
テーブルトーク・ロール・プレイング・ゲームでは、ゲームマスターとプレイヤーの会話や、サイコロの女神の気まぐれによって偶然に、そして柔軟に話が移り変わってゆく。
そうしたテーブルトークRPGの面白さをコンピュータ上に再現しようと、ゲームマスターをコンピュータに置き換えたコンピュータRPGが開発されたのである。

しかし時代が進み表現方法が発達するにつれて、特に日本国内においてコンピュータRPGはいつの間にか漫画やアニメのように物語を楽しむための媒体として認知されるようになった。
"role playing"という言葉の意味は、次第に形骸化していったのである。

ところが今度は、そうしたコンピュータRPGの本末転倒さを払拭する作品が現れた。
『CardWirth』である。

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ストーリー媒体としてのコンピュータRPGにおいて、物語の主人公は時としてプレイヤーとは独立して動く存在である。
対して『CardWirth』では、主人公はプレイヤーが作成するキャラクターであり、ゲーム中の行動の判断もプレイヤー自身にゆだねられている。
『CardWirth』は正しい意味で「役割を演じる」ロール・プレイングだといえる。

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・自分の分身となるキャラクターを作成。命名に悩むのはお約束

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・旅の仲間を集め、酒場で依頼を受ける

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・どう行動するかはあなた次第

『CardWirth』では、キャラクター、モンスター、アイテム、魔法といった様々な要素はカードの形に集約されている。
カードのシャッフルによって生じる偶発性は、テーブルトークRPGにおいてサイコロを振って様々な判定を行う際の偶発性と良く似ており、テーブルトークRPGを遊ぶ感覚を見事に再現している。

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・商店でカードを購入。傷薬と毒消しは冒険者の嗜み

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・戦闘ではカードを繰り出して戦う。時として欲しいカードが出てこないことも…


そして、何と言っても『CardWirth』最大の特徴はシナリオを製作できることにある。
『CardWirth』は、元来プレイヤーとなってプレイするだけであったコンピュータRPGに、テーブルトークRPG独自の概念であり、物語の仕掛け人である「ゲームマスター」としての視点をも取り入れた。

このシナリオ作成機能によって星の数ほどのシナリオが作り出され、シナリオを製作し公開するゲームマスター達と、新たなシナリオを求めるプレイヤー達が結びつき、一大コミュニティが形成された。
そうしたコミュニティの活動はプログラム本体の更新が終了した今なお続いている。


テーブルトークからコンピュータへ向かい、時を経て漫画やアニメのように物語を楽しむための媒体になったロール・プレイング・ゲームは、『CardWirth』においてコンピュータからテーブルトークへと再び帰ってきたのである。
それは本来の意味が失われ、最も不自由なビデオゲームのジャンルとなったロール・プレイング・ゲームが、長い旅路の果てにその意味を取り戻した劇的な瞬間に他ならない。


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  1. 2007/06/13(水) 21:46:45|
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cloudphobia:自由の在り処

アーケードゲーム、家庭用ゲーム、PC向けオンラインゲームなど、世の中に数多くのビデオゲームがあるなかで、筆者が特にフリーゲームを愛好しているのは、フリーゲームの"free"な部分に惹かれてのことである。

『cloudphobia』をプレイしていると、"free"すなわち「自由」が心に引っ掛かって離れない。

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『cloudphobia』はタイムトライアル型の横スクロールシューティングゲームである。
ロボットを駆って逃走した巨大兵器を追跡し、時間内に撃破することが目的となる。

ただし通常通りプレイしているままでは、時間内に巨大兵器を撃破することはできない。
そこで「ブースト」による加速を駆使し、時間を短縮する必要がある。
このブースト使用時の圧倒的なスピード感は筆舌に尽くしがたい。

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・ブースト点火!

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・ブースト使用中は飛行機雲が流れる

シューティングゲームにおける爽快感とは破壊から来る爽快感であることが主だが、こと『cloudphobia』に関しては、透明感とスピードから生まれる突き抜ける爽快感が心を躍動させる。

また、加速と減速を使いわけ、時間内にゴールまで到達するという点で、シューティングゲームとレースゲームを融合させた形のゲームとも言うことができるだろう。
2Dシューティングゲームとレースゲームの融合は、過去にライジング社のアーケードゲーム『疾風魔法大作戦』で試みられていたが、お世辞にもゲームとして成立するだけの完成度があるとは言い難かった。
対して『cloudphobia』ではアイデアがより洗練され、シューティングゲームの爽快感やレースゲームのアクセルワークといった両者の醍醐味を取り込むことに成功している。

そして、シューティングゲーム・レースゲーム両者の共通点である「記録への挑戦」。
シューティングのスコアも、レースのタイムも、両方挑戦できるのだから贅沢極まりない。
記録の塗り替えに情熱を燃やせるならば、『cloudphobia』はこれ以上無いゲームになるだろう。

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・得点に倍率がかかる、特殊兵装のミサイル。荒々しくも美しい

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・赤い指揮官機は逃さず仕留めろ

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・最終成績。まだまだ延びる余地がある


不満点もある。
『cloudphobia』のゲームオーバーには、自機の全壊、タイムアップ、敵の取り逃がしすぎの3つ条件がある。
そのため「ブーストを使い高速で進みながら」「敵を取り逃がさず」「自機もやられないように」プレイしなければならず、どうしてもルールが窮屈に感じてしまう。
3分という制限時間の短さもあり、折角のブーストの疾走感を堪能することが出来ないのがいささか残念である。


しかし逆に、その制約の大きさがあるからこそ自由の存在を強く引き立たせる。

cldphba_06.jpg
・「ただ、自由になりたかったの…」

蒼空への飛翔という自由の象徴を前にして、
閉じ込められ、ついには翼を手にすることが叶わなかった彼女と、
世界の仕組みから逃れられず、思い通りに動くこともままならない自分。
そこに果たして、どれだけの違いがあったのだろうか。

雲を破り、風よりも速く、自由に舞えるか。
突きつけられた問いに対する答えは、まだ満足に出せずにいる。

故に翔る。
己の限界を超える為に。
世界を狭めるしがらみや雑音から逃れ、心を蒼空に解き放ち、真に自由であるために。


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  1. 2007/06/10(日) 17:16:39|
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彩姫:フリーゲーム・ミーツ・ガール

アニメ風の美少女キャラクターが流行し「萌え」という単語がもてはやされ始めたのが何時ごろからだったのか。
もはやあいまいだが、フリーゲームに美少女キャラクターを明確に取り入れ始めたのは、古くは「FANCY」、現在では「彩姫」と呼ばれているフリーゲームブランドだったと記憶している。

1997年には「RINCE SOFT」、1999年には「FANCY」、2002年には「彩姫」とたびたび名前を変えつつも広く認知されている理由には『ギャルげっちゅう!』のヒットがあるだろう。

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『ギャルげっちゅう!は、『サルゲッチュ!』のタイトルをパロディに、様々な方法でギャルを捕獲する経営シミュレーションゲームである。

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・こんな手段で本当にゲットできるんですか?

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・仕入れ以上に管理が大変

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・全プレイヤーを戦慄させた「今日のご飯はお肉」

恋愛要素や性的要素はなく、いわゆる不謹慎ゲームの類に属するだろう。
進行が淡々としている上、セーブ機能が無いため現在遊ぶには少々辛い作品ではあるが、人気を受けて、その後アダルトゲームとしてリメイクされた。

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・参考資料:アダルト版『ギャルげっちゅう!』パッケージ


彩姫と言えば、『Mission Field Intruder 3rd』(MFI3rd)も忘れてはならない。

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『MFI3rd』は、Visual Basicという制約の大きいプログラミング言語の限界を突破した3Dシューティングに、声優22名を動員したフルボイスによる恋愛アドベンチャーをドッキングさせた、フリーゲームの規模を大きく凌駕した超大作となっている。

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・戦車部隊の隊長として、女性隊員達と交流を深めていく

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・多脚戦車はバッテリーで駆動する。ビームガンの無駄撃ちは避けるべし

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・大ダメージを受けても、擱坐するまでには猶予がある。諦めるな!

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・激しい戦いの合間のひととき


そのほか、彩姫のゲームは古典的なカードゲーム等をアレンジする小粒な作風を得意としている。

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・七並べならぬ16進数並べ『78Bit』

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・ダイスゲーム『XIQLO』

筆者のようなヘビー・プレイヤーにはやや物足りない向きもあるだろうが、いずれのゲームも、グラフィック面で貧弱なフリーゲームの多かった当時はもちろんのこと、技術が浸透してきた現在においてもまったく遜色が無い。
彩姫は現在グラフィックの彩色業務を行う事業者として独立しており、そのレベルの高さは折り紙つきである。
グラフィック志向の先駆者として、フリーゲーム界の大きな存在であることは間違いないだろう。


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  1. 2007/06/05(火) 22:54:21|
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Notrium:全ては生き残るために

普段から平和な都市部に住んでいると、生きるか死ぬかの状況を体験するなどということは殆ど無いが、このゲームを前にすれば、いやがうえにも生き残ることの過酷さを思い知らされる。

Ville Mönkkönen『Notrium』。
エイリアンの巣食う惑星からの脱出を図る、サバイバル・アクション・アドベンチャーだ。

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『Notrium』では、見降ろし型視点のアクションゲーム『CrimsonLand』のGrimエンジンを採用しており、WSADキーでキャラクターの移動を、マウスで照準合わせと発砲を行うFPSスタイルの操作となる。
立体視点型ゲームの操作性を平面視点型ゲームに導入するという点は逆転の発想とも言える。

crimsonland.jpg
・『Notrium』の元となった『CrimsonLand』

突如のミサイル攻撃によって宇宙船を損傷し、獰猛なエイリアン達の住処である惑星に不時着、遭難。
最悪なことに、手元に武器などという気の利いたものは無いどころか、食料すら残されていない。
惑星の気候の変化は激しく、軟弱な生身の人間ではとても生活できたものではない。
過酷な状況下でエイリアン達の手から逃れ、自然の猛威と戦い、食料を確保し、最終的に惑星から脱出することが目的となる。

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・エイリアンに怯えつつも、活路を求め探索を行う

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・雪山では暖を取らなければ凍え死ぬ

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・自生するキノコを食べて食いつなぐ。中には毒キノコも…

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・闇夜を行くなら懐中電灯が命綱。電力の確保も重要になる


サバイバル生活の上で鍵となるのが、物資の収集と合成である。
各地に散らばった物資を集めて「組み合わせる」ことで、エイリアンに対抗するための武器や、探索の手助けとなる金属探知機などの道具、果ては損傷した宇宙船を修理するためのパーツまで作成することができる。

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・燃料カプセルと発電装置を組み合わせて、電源ユニットを作成

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・出来上がった電源ユニットを、更に発光ダイオードと組み合わせると…

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・レーザー銃が完成!これさえあれば百人力だ


『Notrium』はただ撃ちまくり殺しまくるだけのアクションゲームでは終わらない。
魅力は何と言ってもそのハードな世界感にあるだろう。
空腹にさいなまれながら食料を求めて必死に歩き回り、いつ襲ってくるかも分からないエイリアンを警戒する。
いざエイリアンと対峙すれば、相手は素早い動きで容赦無く迫ってくる。
その得も言われない緊張感に、次第に自分が実際にエイリアンの巣窟に遭難してしまったかのような強烈な錯覚を覚えてしまう。

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・来るな!来るんじゃねえ!!

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・焚火でエイリアンの肉を焼いて喰う。『Notrium』を最も象徴するシーン

また、未開の惑星で目にする光景や様々な発見も、謎を含みつつもおどろおどろしさと驚きに満ち溢れたものになっており、探検家の気分も同時に味わうことができる。

notrium_10.jpg
・数多の宇宙船の残骸は何を物語る

notrium_11.jpg
・ここは一体…?


遭難した自分を取り巻く全てが圧倒的であり、心臓を鷲掴みにして離さない。
決して古びることの無い鮮烈な感覚を味合わせてくれる、絶大なインパクトを持つ一作である。


[Notrium:全ては生き残るために]の続きを読む

テーマ:無料ゲーム紹介 - ジャンル:ゲーム

  1. 2007/06/04(月) 00:30:01|
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