自由遊戯黙示録

フリーゲーム/インディーズゲームをディープに語る

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Kenta Cho, OMEGA, Jonathan Mak - アブストラクト・シューターの遺伝子

まずは、ゲーム情報サイトInsert Creditが伝えたこの記事の写真を見てもらいたい。

空港のロビーと思わしき場所で集合している、3人の男性の写真。
何の変哲もない写真に見えるだろうか?



彼らにはある共通点が存在する。
それは彼らは皆、インディーズで活躍するゲーム・クリエイターだということだ。
しかも、両脇を固めている2人は近年のインディーズ・ゲーム、それも特に2Dシューティングゲームを語る上では欠かせることのできない大物だ。

写真左の男性はKenta Cho(長 健太)。
ABA Gamesのブランドで知られているクリエイターであり、『Noiz2sa』から始まる、抽象的なビジュアルを持つ2Dシューティングゲーム「アブストラクト・シューター」の開祖といえる人物だ。
2006年末には米国のMTVからインタビューを受けるなど注目度は非常に高く、今やインディーズ・ゲーム・シーンを代表する一人と言っても差し支えないだろう。

写真右の男性はOMEGA
ビジュアルデザインなどでABA Gamesの影響を色濃く受け、更には隠しボスキャラクター名にABAの名を冠するという直接的なリスペクトも行いつつも、
「早回し」「残機数アップ」などの2Dシューティングの持つ要素を分解・再構築し、今までの常識を超えた「弾を撃たない2Dシューティングゲーム」である『Every Extend』を生み出した。


しかし今回注目したいのはこの2人のことではない。
写真の中央、2人に囲まれている男性のことである。



彼の名は、Jonathan Mak

『Everyday Shooter』を作った男。

ABAとOMEGAの遺伝子を受け継いだ、インディーズ・ゲーム・クリエイター。



Queasy Games、すなわちJonathan Makが製作した『Everyday Shooter』とはどのようなゲームなのか?

Jonathan Makは、自身の製作したこのゲームを
「歌がいくつも入っている音楽のアルバムのような、シューティングのアルバム」と紹介する。

まずはいくつかムービーを見てもらうのが早いだろう。

トレイラー・ムービー(From GameTrailers.com)






プレイムービー(From GameTrailers.com)








プレイムービーでは、OMEGAの『Every Extend』のように敵を爆風に巻き込み、連鎖爆発で敵を撃破しているシーンや、迫り来る鳥の大群を迎撃していくシーン、目玉の付いたアメーバ状のボスキャラと対決しているシーンなどが確認できる。
こうしたステージは8種類ほどが存在するようだ。

また、ムービー全編で鳴り響いているギター・サウンドも特徴的だ。
BGMだけではなく、敵を撃破したときやアイテムを入手した際の効果音についてもギター・リフが鳴り響き、ゲームプレイがそのままギターの演奏になるかのようなトリップ感を出している。
シューティングゲームでのBGMと効果音のシンクロはセガ社の『Rez』で最初に用いられたアイデアだが、『Everyday Shooter』のそれは『Rez』のものより明解で、強く印象に残る。


ゲーム内容にもう少し着目すると、スクロールしない1つの画面の中で、ありとあらゆる方向から敵が現れる様子と、それに対して自機が移動し、360度方向に攻撃していく様子が伺える。

こうした固定画面・全方位タイプのシューティングゲームは、海外では俗に「アリーナ・シューター」と呼称されている。("arena"は"闘技場"を意味する)
日本でシューティングゲームと言えば2Dで縦方向・横方向にスクロールしていくタイプのゲームがほとんどだが、海外では『SmashTV!』や『CrimsonLand』、『Geometry Wars』など「アリーナ・シューター」型のシューティングゲームも少なからず見かけることができる。

『Everyday Shooter』は、ABAやOMEGAが先方を切った「アブストラクト・シューター」に、
海外ならではの「アリーナ・シューター」スタイルを組み合わせたと言うこともできるだろう。



『Everyday Shooter』が注目を集めているのには、ある理由がある。

世界最大規模のゲーム開発者向けカンファレンスである、Game Developers Conference(GDC) 。
そのGDC中で開催されるインディーズゲームの祭典、Independent Game Festival(IGF)。

『Everyday Shooter』は2007年のIndependent Game Festivalへ出展した。
そして見事最終選考まで勝ち残り、「Design Innovation Award」(革新的デザイン賞)・「Excellence in Audio」(優秀音響)・「GameTap Indie Awards」(GameTapインディーズゲーム賞)の3部門を獲得するという大きな評価を得たのである。
その時の様子については、Gamasutraが「Road To The IGF」と銘打ったインタビュー記事や、受賞式の様子を伝えた4gamer.netの記事などに詳しい。


そしてIGFでの受賞がソニーのゲーム部門の眼に留まり、PlayStation3でのリリースが決まる。
『Everyday Shooter』は2007年10月中旬、米国PlayStation Network(プレイステーション3でのダウンロード販売)でリリースされた。

…日本在住である筆者には、『Everyday Shooter』をプレイできないのが、本当に残念でならない。



何がJonathan Makを『Everyday Shooter』製作へと突き動かしていったのだろう?
彼のようなインディーズ・ゲーム・クリエイターを支えているものは一体何なのだろう?

ゲーム情報サイトSnackNewsに掲載されたJonathan Makへのインタビュー
その中のJonathan Makの言葉から、インディーズ・ゲーム・クリエイター達がゲームを製作し、世に送り出すにあたって、どんなことを思い、どんな姿勢で臨んでいるかという事についてのヒントをいくらか見つけ出すことができる。


Not for the money, but just thinking about how many people are going to see this game now.
It's coming out on this console, so it's kind of--yikes.
金銭的にではないですが、なるべくたくさんの人々にこのゲームを見てほしいということを考えました。
家庭用のゲーム機で出すのもそのためなんです。




I'm lucky this great business opportunity happened, but the goal is to just make games that I want to make.
かなりのビジネスチャンスが起こったのは幸運ですが、目標はただ、したいと思うゲームをすることです。



Before I was like, "If you don't get it, fuck you. Go play your whatever game."
But that's stupid.
I want people to play my game.
以前の私ならこんな感じでした、「あんたがこのゲームを手に取らないならファック・ユー。
他のゲームでもなんでもプレーしに行ってくれ。」と。
しかしそれは愚かです。
私は、人々に私のゲームをして欲しいと思います。





同インタビューにはABAから影響を受けたことを覗かせるこんなやりとりがある。


Shack:
 Would you develop for any other platforms?
 他のプラットフォームに展開する予定は?

Jonathan Mak:
 I'm not done with freeware.
 I want to make freeware and Sony knows this.
 Where would I be without Kenta Cho?
 If I didn't play that game, none of this would have happened.
 I sort of feel indebted to it.
 私はまだフリーウェアを作ってはいません。
 フリーウェアを作りたいですし、ソニーもそれを知っています。
 Kenta Choなくして、私はここにいるでしょうか?
 もし私が彼のゲームをプレイしなかったら、こんなことは何も起こっていなかったでしょうに。
 そこがちょっと恐縮です。




また、OMEGAのblogの2007年9月24日の記事では、先のInsert Creditの「シューターの円卓」について触れられている。
それによれば、この対面はMakの要望によって実現したものであるという。

Insert Creditは、そのときの様子をこう伝えている。



all sitting around a table playing Everyday Shooter on Mak's laptop.
They discussed bullet techniques, enemy patterns, and things like that.
It was incredibly cool to have Mak sitting there saying
"this level was inspired by you (pointing at Cho), and this level was inspired by you (pointing at Omega)."
全員はMakのノートパソコンで動く『Everyday Shooter』を囲んでプレイし、
弾幕のテクニックや敵のパターンといったことを議論しあいました。
このやりとりの中で最高にクールだったのが、その場にいたMakが放ったこの一言でした。
「このステージは(Choを指しながら)あなたから、こっちのステージは(OMEGAを指しながら)あなたからインスパイアされたものなんだ」 


自分の作ったゲームを、なによりも自分が最も尊敬し憧れるゲーム・クリエイターに見せたかった。
そんな彼の想いが伝わってくる一幕である。

言うなれば『Everyday Shooter』は、ABAとOMEGAという2大インディーズ・ゲーム・クリエイターに対する、
アンサー・ソングならぬ「アンサー・ゲーム」なのだ。
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テーマ:無料ゲーム紹介 - ジャンル:ゲーム

  1. 2007/11/01(木) 22:33:17|
  2. 不定期コラム
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