このゲームに初めて触れたとき、感じたものは”違和感”だった。
本作品はあまりにも新しく、そして異質すぎた。
そして、その戸惑いを埋めるために幾度となくプレイを繰り返し、結果として本作を”心のゲーム”の一本として数えるほどに惚れ込むことになった今でも、否、そんな今だからこそ、果たして本作品を通じて得られる感覚を言葉として語れるかどうか、筆者には正直なところ自信が無い。
それでも、この作品について、筆者が何か言葉を送るのならば、
”電光石火”
これこそが、この作品を形容するのに最もふさわしい。
そのゲームの名は『
スグリ』。
『スグリ』は、同人ゲームサークル橙汁が製作した、Windows用ハイスピードシューティングゲームである。
各種同人ショップなどで購入可能となっている。

『スグリ』は、”ハイスピードシューティング”と自らが銘打っているように、高速機動戦闘を主眼に置いた新世代型の2Dシューティングゲームである。
その『スグリ』を”ハイスピードシューティング”たらしめる最大のシステムが、虹色のリング・エフェクトを発生させながら高速で移動する「ダッシュ」の存在だ。

・本作の根幹となる「ダッシュ」
この「ダッシュ」は単純に高速で移動して敵の攻撃を回避できる、というだけでなく、特定種類の攻撃に対して無敵になれるという強力な特性を持っている。
また、「ダッシュ」時に発生するリング・エフェクトに敵弾を通過させることでエネルギーを溜め、強力な無敵攻撃「ハイパーアタック」を放つことができる。

・一見、回避不可能な攻撃に見えても…

・ダッシュで一気に突破!
シューティングゲームの面白さの2つの軸として「撃つ事」と「避ける事」がよく挙げられる。
そして「撃つ事」がシューティングゲームに爽快感をもたらすとされている。
しかし「避ける事」のみに重点を置き、大量の低速度の敵弾が押しつぶす様に迫ってくる”弾幕型”の2Dシューティングゲームが台頭するにつれて、2Dシューティングゲームは圧迫感のある閉塞的なゲームとなっていった。
そこに到り『スグリ』は、敵弾幕に向かって高速で突っ込み突破する、というダイナミックな回避方法を提唱し、「避ける事」にかつてない爽快感を持たせることに成功している。
しかし「撃つ事」に目を向けてみると、爽快感どころか、むしろストレスの溜まる部分すら見えてくる。
『スグリ』では、全17種類の武器のうち2種類をチョイスして使用することができる。
それらの武器はマシンガンなどのごく少数の例外を除き、射撃中は硬直が発生するようになっており、”ショットを撃ちながら移動する”という一般的な2Dシューティングゲームでは出来て当然のようなことすらもままならない。

・武器はゲームをプレイしていくごとに追加されていく

・攻撃には予備動作があり、その間は隙だらけになる
ロックオンの存在も曲者だ。
ロックオン自体の精度があまり高くなく、弾速が遅いため攻撃が当てにくいことに加え、ロックオンは敵を1体づつ狙うため「自分が1回の攻撃で倒せる敵は基本的に1体だけ」ということを意味している。
敵を1機撃ち洩らそうものなら、別の敵が次々にエントリーし、そしてそれを捌く余裕すら与えられずに猛攻にさらされることになる。
訳も分からず無闇に攻撃ボタンを押したところで、攻撃を外し、隙だらけのところに反撃を受け、そのままなし崩し的にやられてしまうのが関の山だろう。

・案の定、撃墜されるの図
そして「ダッシュ」の存在は、ここでも活きてくる。
武器使用時に発生する隙は、もう一方の武器か「ダッシュ」を使うことによって、格闘ゲームさながらに「キャンセル」がかかり、隙を消すことが出来る。
また、自身の攻撃を命中させるためには、敵の静止中を狙う、敵に接近して攻撃する、敵の移動先に回りこむ、といった工夫が必要になってくる。
そこで「ダッシュ」を駆使して攻撃しやすいポジションまで素早く移動して見敵必殺、敵を倒したらすかさず「キャンセル」を掛け、次の攻撃ポジションまで再びダッシュで移動する、というように現れる敵に対して先手を打つ積極的な攻めが展開できる。
この「ダッシュ・キャンセル」の使い方を覚えたとき、自身の行動の自由度が劇的に広がり、戦いへのシンクロニティを感じ取れるようになっていくのである。

・戦闘空間は縦横無尽に展開される
しかし、いかに便利な「ダッシュ」と言えども決して万能ではない。
「ダッシュ」を使い続けていると「ヒート値」が上昇し、「ヒート値」が高くなればなるほど受けるダメージが大きくなる。
そのため、安易にダッシュキャンセルを多様していれば「ヒート値」が上がりきり、致命的な一撃を受ける危険に繋がる。
そのため、ダッシュに頼りきった回避をせず「ヒート値」を抑える戦術も必要になってくる。
また、「ダッシュ」でくぐり抜けられる攻撃は光弾やレーザーのような「ビーム」属性の攻撃に限られており、ミサイルなどの「実弾」属性の攻撃はそのまま命中してしまう。
だが「実弾」属性の攻撃は自身の攻撃で撃ち落とすことが可能であり、それが「ビーム」属性であればそのまま貫通して敵を攻撃できる。
これにより「ビーム」・「実弾」・「ダッシュ」による3すくみが生まれるのである。

・こちらのバズーカと敵のミサイルでは…

・互いの攻撃は相殺されるが…

・ビームなら貫ける!
いかに攻め、いかに守るのか。
敵の動きを読み、状況を判断し、自身の隙を減らしつつも相手の隙を突く―――
『スグリ』には、2Dシューティングゲームでありながら、対戦格闘ゲームに匹敵する駆け引きが存在している。
その事は、後に1対1での対戦に特化したスピンオフ作品『
Accellalation of Suguri』(AoS)が製作されたことからも証明されていると言える。

・対戦型シューティング『Accellalation of Suguri』

・『スグリ』のキャラクター達が円形フィールドでバトル

・追加パック『X-Edition』では、同サークルの『きゅぴシュ〜』からのゲストキャラクターも
主人公の少女「スグリ」をはじめとするキャラクター達が織り成すストーリー、細かいながらもキレのある演出も、『スグリ』の大きなポイントだ。
詳細に記載することはここでは避けるが、オープニングムービーや最終ステージなど、DEKU作曲の疾走感のあるBGMとシンクロした演出は特筆に価する。
オープニングムービーについては公式サイトのダウンロードコーナーでも公開されているので、『スグリ』の世界観を把握する上でも是非視聴を薦めたい。
『スグリ』は、あまりにも難しいゲームだ。
その難しさというのも、攻撃の熾烈さに加えて、ひたすら撃つ・避けるだけの一般的な2Dシューティングゲームとは異なる『スグリ』特有の立ち回りの難しさにある。
『スグリ』は万人に薦めることのできるゲームでは決して無いだろう。
それはシューティングゲームを敬遠するような人々はおろか、普段からシューティングゲームを愛好する、いわゆる”シューター”と言われている人々にすら、だ。
されど、癖のある操作を体に馴染ませ、ダッシュキャンセルを覚え、ビームと実弾の関係を把握し、何度もステージに挑んで、やられながらも敵の攻撃パターンを覚え、対処法を考え、そのステージに合う武器を試行錯誤する。
ひとつひとつのステップを踏んでいく度に、自らを研ぎ澄まして行く度に、確かに見えてくる世界がある。
漠然とゲームをプレイしていては見えてはこないものが、そこにはある。
なによりも、蒼空に光の軌跡を描き、閃光を弾かせて舞う、
少女達が繰り広げる戦いの雷光の如き鮮烈さが、心を震わせて止まない。
ただただ惚れる。恋焦がれる。
だからコントローラを手に取るのだ。
己の限界を超え、そこに追いつくために。
稲妻より速く、舞えるか。
それが問われる。
・関連リンク
○スタッフ
橙汁
http://daidai.moo.jp/神奈川電子技術研究所 (製作協力)
http://www.shindenken.org/ORANGEJUICE (キャラクターデザイン担当・ほの)
http://hono.gooside.com/DEKU (楽曲担当)
http://www1.dnet.gr.jp/~mendo/deku/○攻略/ファンサイト
橙汁ファンサイト
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http://daidai.gamedb.info/wiki/?FrontPage
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- 2008/07/21(月) 01:29:58|
- 同人/インディーズ
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