自由遊戯黙示録

フリーゲーム/インディーズゲームをディープに語る

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特攻空母ベルーガ:マイコン時代の申し子達

かつてパソコンが、「パソコン」ではなく、「マイコン」と呼ばれていた時代があった。

1970年代末期から1980年代にかけて、日本国内ではNEC社「PC-8000」シリーズや、シャープ社「MZ」「X1」シリーズ、海外ではアップルコンピュータ社「Apple II」、コモドール社「Commodore64」などといった8bitパーソナル・コンピュータが全盛を極めていた。

当時はオペレーティング・システムをはじめとする各種ソフトウェアはまだ広く普及しておらず、コンピュータの利用者はコンピュータに内蔵されたBASICインタプリタを使用し、利用者自身でプログラミングを行わなければならなかった。

そのような状況を支えたのが、各種マイコン雑誌の存在である。
特に代表的な雑誌である『マイコンBASICマガジン』誌においては、ゲームを中心に様々なプログラム・リストが掲載されていた。
読者はリストを自分の手で入力していく中でプログラミングを学習し、ゲームに改良を加えるなどの工夫を凝らすこともできた。
そうしてプログラミングを学んだ読者が雑誌に新たにゲーム・プログラムを投稿し、それが紙面に掲載される、というサイクルを生み、時には紙面上でエラーを添削されるといったこともあった。

また当時、複数の企業がコンテストを開催するなどして有志からプログラムを募っていた。
中でも、スクウェア・エニックス社『ドラゴンクエスト』で著名な堀井雄二や中村光一といった人物が、当時開催されていたエニックス社主催のプログラムコンテストにゲームを投稿しており、これをゲーム・クリエイターとしての出発点としている事が良く知られている。

1980年代の雑誌・コンテストを中心とした”投稿ゲーム”の文化は、現在までの自主製作ゲームの生い立ちに大きな影響を与えており、またゲーム開発者の育成という観点からも強い注目を集めている。



いささか前置きが長くなった。

そんなマイコン当時の雰囲気を思わせる作品が、2007年末に発表されている。
ローレゾ25周年記念作品と銘打たれたそのゲームの名は『特攻空母ベルーガ』。

beluga_00.jpg

本作の作者である松島徹は、当時中学生にしてナムコ社『ゼビウス』のPC-6001移植版である『タイニーゼビウス』を開発・投稿したという、まさにマイコン時代の申し子と言うべきいわくのある人物である。


『特攻空母ベルーガ』は人型機動兵器を操作する横スクロールタイプのシューティング・ゲームである。
敵基地の奥深くにある防御システムを破壊するのがゲームの目的となる。
自機となる人型機動兵器には、次のような多彩な武装が搭載されており、これらを使い分け、様々な方向から襲ってくる敵を撃退していく。

beluga_01.jpg
・ツインショット(通常ショット)

beluga_02.jpg
・3wayビーム(方向ボタン後ろ+ショット)

beluga_03.jpg
・対地ボム(接地中に方向ボタン下+ショット)

beluga_04.jpg
・対空砲火(接地中にショット)

beluga_05.jpg
・アームパンチ(ショット溜め撃ち)

このうち、アームパンチは防御システムのバリアを一時的に停止できるほか、防御システムの心臓部に唯一とどめを刺すことが出来る重要な武装となっている。

beluga_06.jpg
・「敵BASE接近 突入せよ」アームパンチで活路を開け!

また途中、敵UFOに捕獲された友軍ヘリが登場することがあり、ヘリを救出することでパワーアップアイテムを取得することが可能だ。

beluga_07.jpg
・友軍ヘリを誤射しないように注意せよ

ゲームの見た目こそレトロだが、「方向ボタン+1ボタンの簡単操作で多彩な武装を繰り出し、状況に応じて使い分ける」というシステムは現代のゲームにも通じる内容だといえる。
もし本作が”当時”に発表されていたとしたら、非常に先進的なゲームとして評価を受けたのではないだろうか、と想像せずにはいられない。
この新旧のギャップこそが『ベルーガ』の魅力と言ってもよいだろう。

更に、『特攻空母ベルーガ』の驚異的な点として、『ベルーガ』のプログラムがPC-6001擬似環境上に構築されている、という点が挙げられる。
この事が何を意味するのかというと、”『ベルーガ』がPC-6001の実機上でも動作しうる”ということであり、実際に「西田ラヂオ」により『ベルーガ』PC-6001用カードリッジの製作が行われた
松島氏は先述の『タイニーゼビウス』のみならず、過去に有限会社るつぼゲームズにおいて数々の業務用ビデオゲームの移植を手掛けており、そこで培われた技術力と”移植魂”ともいうべきこだわりを垣間見ることができる。


マイコンブームの頃、筆者はまだこの世に生を受けているかどうかと言った時分であり、筆者には当時の事は様々な資料を追った上で測り知ることしかできない。
物心ついた頃から自宅に家庭用ゲーム機が存在し、ビデオゲームを”与えられて”育った身には、ゲームを作るということが果たしてどういうことなのか、判りにくく感じることもある。

しかし、現在フリーゲーム作家として活動している人物の中にはマイコンブームを経験してきた人々が少なくないことを顧みるに、
「ゲームを作ること」と「ゲームを遊ぶこと」がほぼ等価で結び付いていた時代が、そこには確かに存在していたのだと―――そんな想像をするのである。


○関連リンク

特攻空母ベルーガ配布ページ
http://matzun.hp.infoseek.co.jp/

BELUGA Cartridge for PC-6001 / 6601 series (西田ラヂオ)
http://tulip-house.ddo.jp/digital/BELUGA/

Hashi's HomePage "THE B-TYPE UNION" on RetroPC.NET
『特攻空母ベルーガ』紹介ページ
http://www.retropc.net/hashi/beluga1.html

8ビットパソコン - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/8%E3%83%93%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%91%E3%82%BD%E3%82%B3%E3%83%B3

タイニーゼビウス - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%82%BC%E3%83%93%E3%82%A6%E3%82%B9


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