自由遊戯黙示録

フリーゲーム/インディーズゲームをディープに語る

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Cactus:サイバネティック潮流

2005年以降、ちょうど『洞窟物語』が公開・英訳されたことに呼応するかのように、海外でフリーゲーム・インディーズゲームが急速に注目を浴び始め、活気を見せている。

TIGSourceやIndieGames.comなどの専門blogがいくつも開設され、新作情報が伝えられるようになり、ゲーム・プレイヤー達の情報交換の場となると共に、作品を探す為のデータベースとなっている。
また、MultiMedia Fusion(Click&Create)やYoYo GameMakerなどのゲーム製作ツール、各種コンペティションや開発フォーラムの発展も見逃すことのできない点のひとつである。
インディーズゲームの祭典であるIndependent Games Festivalでは、入賞作品が家庭用ゲーム機のダウンロード販売用ゲームとして採用される程にまでなった。

そうした状況の中、若く、才能溢れる開発者が海外から続々と登場している。
このような海外のインディーズ・ゲーム・クリエイター達の中でも急先鋒といえるのが、Jonatan Soderstromこと"Cactus"だろう。


彼の名前を一躍知らせしめたのが、SHM-UP.dev Autofire Competition 2007において大賞に輝いた縦スクロールシューティングゲーム、『Clean Asia!』である。

cleanasia_00.jpg
・『Clean Asia!』

『Clean Asia!』は人類に叛旗を翻した眼(まなこ)に対し、2人の超能力兄弟がアジア各地を転戦する縦スクロール型のシューティングゲームである。

cleanasia_01.jpg
・「まなこをうちとる。きよつけてくたい」

『Clean Asia!』では「ATTRACTOR」と「REFLECTOR」の2種類の機体を選ぶことができる。
「REFLECTOR」は一般的な2Dシューティングゲームと同様、ショットと緊急回避武器で構成されているが、もう一方の「ATTRACTOR」は非常に特徴的な攻撃手段を持っている。
その一部始終をご覧いただこう。

cleanasia_02.jpg
・問題の機体「ATTRACTOR」とそのパイロット

cleanasia_03.jpg
・まずは体当たりで敵を粉砕

cleanasia_04.jpg
・破片を吸引して…

cleanasia_05.jpg
・発射!

このように、シューティングはシューティングでも「投げる」シューティングに変貌してしまう。
ビジュアルとサウンドが醸し出す強烈な雰囲気に意識を奪われがちだが、プレイのバリエーションにも幅のある一粒で二度おいしい作品となっているのである。


この他にもCactus作品に着目してみると、線や図形で構成されたアブストラクト・グラフィックスに加え、一種独特のサイケデリックさを含んだビジュアルがCactus作品に共通する特色と言える。

mondo_00.jpg
・一人称視点のアドベンチャーゲーム『Mondo Agency』

xwung_00.jpg
・振り子を使って敵を倒す全方位アクション『xWung』

また、Cactusがハイペースで作品を生み出し続けている点も見逃すことが出来ない。
Webサイトにて公開されているだけで20本以上のタイトルがあり、IndieGames.comが行った、ジャンルごとのベストフリーゲームを決める「Best-Of Features」の2007年版ではCactus作品単独でのランキングが組まれていた程である。
こうした作品群は「Cactus Arcade」をダウンロードすることでまとめてプレイすることができる。

更に、彼の新しいゲームはWebサイト内に設けられたフォーラムで逐時公開され、一度作品が公開されると、それを遊んだプレイヤー達によって感想や意見が次々と書き込まれている。
ネットワークを介して日々作品が生まれ、その場で即座に作品についてのやり取りが発生していくという一種のライブ感は、フリーゲームにおいてのみ味わうことのできる感覚のひとつといえる。

precision_00.jpg
・『Precision』。フォーラム内で公開された作品のひとつ

Cactus、ならびに海外のフリーゲーム界隈はなおも発展を続けており、今後の動きが注目されるところである。

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  1. 2008/11/02(日) 14:48:36|
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Karoshi:憤死上等

フリーゲームを取り扱った言説では、「商業用ゲームには見られることのない表現が成されている」という点が、フリーゲームの最大の特徴としてよく挙げられている。
そしてその特徴の多くは、ゲームシステムやグラフィック、世界観の独創性として表れる。

しかし時として、時事的な犯罪事件などを題材にした、ある種の社会性を持ちあわせたゲームが作られることがままある。
1995年に発生したオウム真理教による「地下鉄サリン事件」をシミュレートしたゲームや、1999年に米国コロンバイン高校で発生した銃撃事件を題材として物議を醸し出した『Super Columbine Massacre RPG!』などがその代表例と言える。

このような「不謹慎ゲーム」の類は、概ね悪趣味な意図の下で製作されており、当blogで取り上げるには不適切な作品が大半であろう。
だがそうしたゲームの中にも驚くべき作品が潜んでいることもある。


karoshi_00.jpg
Jesse Venbrux『Karoshi』。

『Karoshi』、そう"過労死"である。
一体何故"過労死"なのだろうか?

確かに"Karoshi"は、古くは"Ninja"や"Sushi"、近年なら"Manga"などのように、日本発祥の固有文化として認知され、国際的に通用する単語となっている。
しかし、たとえそのことを念頭においたとしても、"過労死"というネガティブな要素を含む日本語で名付けられたゲームが、日本国外から世に発表されたという、その事象自体がまず、日本人として生まれ育ち、会社勤めをしている筆者にとっては衝撃以外の何物でもなかったのである。


karoshi_01.jpg
・『Karoshi』を開始すると、そこにはスーツ姿のサラリーマンがひとり

さて弱った。
このゲームは一体どんなルールで、先へ進むためには果たして何をすればよいのだろうか?
説明書を見ても操作方法程度の情報しか記載されておらず、全くゲームプレイの参考にならない。
とりあえず画面内のサラリーマンが操作できるようなので、あれこれ操作することにすると…

karoshi_02.jpg
・剣山に落っこちてしまった!

karoshi_03.jpg
・あれ、何やら画面が切り替わった…


そう、本作におけるステージクリアの条件とは「サラリーマンを自殺させる事」なのである。
ステージが進むにつれて、スイッチなどのパズル的な要素や、素早いアクションを要求されるシーンが登場し、「如何にしてサラリーマンを自殺へ導くか」に頭を捻ることになる。

karoshi_04.jpg
・鉄製コンテナは足場や重しとして使える

karoshi_05.jpg
・床にある赤いスイッチは○ブロックを出したり消したりする

karoshi_06.jpg
・拳銃を取ると銃弾が撃てるようになる。勿論、自殺用だ


自殺でクリアというエキセントリックなルールとは対照的に、やるべきことはシンプルで、頭脳と反射神経の双方を程よく要求される。
ところが、パズルの完成度の高さに舌鼓を打っているところで、悶絶死しかねないほどに不条理な展開の数々がプレイヤーに襲いかかる。

karoshi_07.jpg
・どう考えてもクリア不可能に見える「K」のステージ。一体何をしろと?

karoshi_08.jpg
・一見して楽勝そうに見えるが、実は…

『Karoshi』は見た目以上に挑戦的な内容のアクション・パズル・ゲームなのである。


筆者は『Karoshi』をプレイしているうちに、パズルを解くのに知らず知らずのうちにに熱中し、人を食った理不尽な展開に憤慨し、進行に行き詰まり躍起になってWebで攻略方法を漁りだし、そして不意にあるひとつのことに気が付いた。
いや、気が付いてしまった。

自分が、いつの間にか「部下を過労死に追い込む上司」になりきってしまっている、ということに。

本作では、プレイヤーは画面内に存在する無理難題のために、サラリーマンをあの手この手で酷使し、そして遂にはサラリーマンを死に至らせる。
これはひょっとすると、現実社会で起きている過労死の構造、まさにそのものではないだろうか―――
自分が過労死の被害者ではなく、加害者の立場に居るのだという事に気付いた瞬間、言いようの無い空恐ろしさを筆者は感じたのである。

お前は何食わぬ顔で他人を間接的に殺し得るのだ、と。

突きつけられてしまったものは、余りにも重い。


『Karoshi』というゲームの中には、言葉や映像で直接的に社会問題を提示するのではなく、社会問題が発生する仕組みをゲームシステムに置き換えて構築し、プレイヤーにそれを追体験させるという、コンピュータ・ゲームならではの風刺表現が存在している。
センセーショナルな事象の尻馬に乗っただけのものではなく、恒久的な"構造"こそを捉え、再現し、浮き彫りにしているのである。
このような点もまた、コンピュータ・ゲームというメディア、中でもとりわけ自由な表現が活発に行われているフリーゲームの持っている可能性のひとつだと言えるのではないだろうか?


『Karoshi』は全編にシュールさが散りばめられた作品でもある。
本作をプレイした人の中には、そのシュールさを自身とは全く関係のない外部の物として茶化す人もいるだろう。
そして、たかだか1本のコンピュータ・ゲームにここまで想像力を働かせる筆者の事を一笑に伏す人も、きっと居てくれることだろう。

しかしそれでも、筆者には『Karoshi』を笑い飛ばすことは、もう出来なくなってしまったのだ。

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  1. 2008/09/24(水) 23:45:17|
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The Spirit Engine:バトル・プレイング・ゲーム

コンピュータ・ロール・プレイング・ゲームの面白さとはなんだろうか?

もしそう問われたときに、あなたなら何と答えるだろうか?

それは個性的な登場人物達が織り成す感動的なストーリィである、と答えるだろうか。
あるいは、迷宮を探索して謎を説き明かし、古代の秘宝や様々な道具を収集する楽しみを唱えるだろうか。

無論それらは、確かにコンピュータRPGの面白さに含まれている大切な要素だが、持ちうる資源と知略を尽くして敵に立ち向かう”戦闘シーン”の存在を欠かす訳にはいかないだろう。
戦闘シーンは数多のCRPGにおいて避けては通れないものであり、各作品が様々に創意工夫を凝らし、それぞれがそれぞれに特徴的な戦闘システムを作り出している。
そしてプレイヤーも、プレイ時間の大半をそうした戦闘シーンに割くことになる。

日本国産CRPGの代表格である『ファイナルファンタジー』シリーズでは、「ジョブチェンジ」システムによって十人十色の戦術を組み立てることのできる第3作目や第5作目の人気や評価が特に高い。
子供達を中心に空前の大ヒットを飛ばした『ポケモン』にしても、「モンスターを捕まえてバトルさせる」ことがゲームの主眼のひとつとなっている。
CRPGにおいて「戦闘が面白い」ことは、その作品のコンピュータ・ゲームとしての善し悪しを決める第一条件だと言っても過言ではないだろう。


ここで、『The Spirit Engine』という1本のCRPGについて述べたいと思う。

『The Spirit Engine』は、海外のフリーウェアゲーム製作集団Natomic Studiosによる作品のひとつで、Mark Pay氏がメイン・デザイナーを務めている。
同ゲームブランドの看板タイトルともいえる大作CRPGだ。

tse_00.jpg

『The Spirit Engine』は、終始横から見た視点でゲームが展開する”横スクロール”RPGである。
左右どちらかにしか進むことができない、文字通りの一本道構造のため、迷宮の中を探索し、道に迷いながらも謎を解いていく・・・というような展開は一切合切存在しない。
つまり本作では必然的に戦闘シーンがゲームの中心となるわけだ。

tse_01.jpg
・ある種の潔さすら感じる横視点制

そして、『The Spirit Engine』の戦闘は、紛れも無く面白い。
本作の戦闘シーンについて順を追って見ていこう。

まず、ゲーム開始時に9人の主人公の中から3人を選んでパーティを組むことになる。
主人公達は大きく分けて3タイプの職業に分かれており、さらにそれぞれのキャラクターが得意な分野、苦手な分野を持っている。
ここでのキャラクターのチョイスがその後の戦術を大きく左右することになる。

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・手に持ったライフルで強大な敵を打ち倒すRifleman(ライフルマン)

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・魔力で敵を薙ぎ払い、また盾となる防壁を作り出すMage(魔法使い)

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・仲間の負った傷を癒し、聖なる力で死霊を払うPriest(聖職者)


本作が”横スクロール”RPGであることは先にも述べた通りだが、戦闘シーンにおいても横視点をぞんぶんに活かしたものとなっている。
画面を見るだけで、前列に立つキャラクターは敵の攻撃にさらされ、後列にいるキャラクターは攻撃を受けにくい、ということがわかるだろう。

tse_05.jpg
・戦闘中は隊列変更が可能。傷ついたキャラクターは後退させよう


『TSE』の戦闘における最大の特徴が「スキルチェーン」システムである。
各キャラクターは、単体攻撃、範囲攻撃、防御、回復などの様々な「スキル」を持っており、これを3つ繋げて1つのチェーンを作る。
チェーンは1キャラクターにつき3つ設定することができ、これをリアルタイムに切り替えながら戦いを繰り広げる。
一般的なCRPGの戦闘でのコマンド入力を数珠繋ぎにしたもの、と考えるとわかりやすいだろう。

また、スキルはそれぞれ発動するまでの時間が異なる他、Mana(マナ)ポイントを消費するスキルが存在する。
スキル発動に必要なManaが無い場合は、Manaが回復するまではスキルは発動せず、大きなタイムラグが生じることとなる。
強力な攻撃を一辺倒に繰り出すだけでは息切れしてしまう、というわけである。

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・例としてRiflemanでスキルチェーンを組み立ててみよう

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・まずはSpeedfire(連射攻撃)で敵を牽制し、

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・続けてSharpshoot(狙撃)の強烈な一撃をスタンバイする

tse_09.jpg
・スキルで消費したManaをRecharge(再装填)で補充して、

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・再びSpeedfireへ。スキルチェーンは循環するようになっている


他にも、CRPGではお馴染みの”属性”の概念も存在している。
『TSE』では、Normal(物理)、Magic(魔法)、Energy(エネルギー)の3種類の攻撃属性があり、敵によっては攻撃が効きにくかったり、あるいは完全に通用しないといった事がある。
また、敵となるモンスターの中には、Large(大型生物)、UnDead(死霊)の属性を持っているものもおり、これもまたスキルの効力に影響を及ぼす。
敵の弱点や攻撃パターンに応じてスキルチェーンを組み替え、使い分けていくことが戦闘を優位に進める上での鍵となる。

tse_11.jpg
・幽霊相手に銃弾を放ったところですり抜けてしまう。ここはPriestの出番だ


パーティの前に立ちはだかる敵キャラクター達も多種多様で、個性的な攻撃を仕掛けてくる。
いずれも一筋縄ではいかない手強い相手ばかりだ。

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・氷漬けにされて身動きが取れない!果たしてどう乗り切るか

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・中盤の強敵ボス、暗殺者Crossbone。素早い動きと必殺のダイビング攻撃はまさに脅威

『TSE』においては、戦闘がリアルタイムで進行することもあり、臨機応変に戦術を変えていかなければ勝利はおぼつかない。
少し気を許せばパーティは全滅まっしぐら、というシビアで歯ごたえのある戦闘を堪能できるだろう。

tse_14.jpg
・全滅してしまった…敵の高笑いのなんと腹立たしいことか!


なお2008年7月末には、4年越しの続編となる『The Spirit Engine 2』がリリースされている。
こちらはダウンロード販売ソフトであり、公式サイトより18米ドルにて購入可能だ。
『TSE2』では戦闘システムをはじめとして、あらゆる面に磨きがかかっており、より緊迫感のある攻防を楽しめる。

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・『The Spirit Engine 2』

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・ギリギリの戦闘が楽しめるのは相変わらず

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・新・スキルチェーン。より長いチェーンが組めるようになった


フリーゲームのコンピュータRPGと言えば『RPGツクール』で制作されたもの、あるいはRoguelikeなものが主流となっているが、『The Spirit Engine』は珍しい事にそのどちらにも当てはまらない。
また、アクションやシューター等のarcadeなゲームが多く制作される傾向のある海外フリーゲームの中においても、独自の戦闘システムを盛り込んだ意欲的なCRPGとして貴重な存在だと言える。

『The Spirit Engine』は、CRPGに当たり前のように存在している”戦闘シーン”の重要性を、改めて気付かせてくれる一本である。


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  1. 2008/09/05(金) 01:24:55|
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The Battle for Wesnoth:王国の旗の下に

もし、これから本作をプレイする人がいるのなら、まず最初にクレジット(スタッフロール)画面から見ることを推奨したい。
本作品のクレジット画面は、思わず笑いが込み上げるてくるほどに馬鹿馬鹿しい。

そして、そんな馬鹿馬鹿しい事を大真面目に”やっちまっている”のが、この作品の凄さなのだ。

wesnoth00.jpg


『The Battle for Wesnoth』は6角HEXタイプのファンタジー・戦略シミュレーションゲームである。
ゲームのルールの基本としては、敵軍の総大将を倒せば勝利となり、自軍の総大将が倒されれば敗北となる。
まずは自軍陣地にて、資金を使ってユニットを雇用し、彼らを進軍させていく。

wesnoth01.jpg
・軍団編成。この時点から戦いは始まっている

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・資金は村を確保することで得られる。ユニットには維持費もかかるため、資金集めは重要

ユニットをクリックすることで移動可能な範囲がライトアップされ、移動したいマスをクリックすることでユニットが移動する。
ユニットを移動させる際、移動先にはそのユニットが攻撃を回避できるかどうかの確率が表示される。

wesnoth03.jpg
・ユニットの移動先に表示されるパーセンテージは、そのユニットと地形による「回避率」

回避率は、単純に進入しにくい地形ならば回避率が高いというわけではなく、ユニットごとに地形に応じて得意・不得意が設定されている。
例えば馬に乗った「騎士」は平地での回避率が40%だが、森林では30%とむしろ低下してしまう。
いかに”地の利”を活かす事ができるかどうかが、戦いを有利に進める上でのポイントのひとつとなる。

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・弓を持ち、森林での戦いを得意とするエルフ族

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・山岳地帯や洞窟ではドワーフ族が頼りになる


邪魔をする敵軍ユニットは、自軍ユニットで攻撃を加えて撃破していくことになる。
攻撃は自軍ユニットで敵軍ユニットで隣接することで可能となる。
攻撃方法は大別して「格闘」と「投射」の2種類が存在する。
(誤解しがちだが「投射」といっても、離れたマスから攻撃が出来るわけではない)
攻撃の際、それぞれの攻撃方法に対応する武器を持っていないと、相手は反撃することができない。
これを活用すれば、自軍の損害を抑えつつ敵を一方的に攻撃することが可能となる。

wesnoth06.jpg
・相手が「投射」攻撃を持っていないので、こちらは「投射」で一方的に攻撃できる

また、それぞれの攻撃には「貫通」や「打撃」、「火炎」や「冷気」といった属性が付与されており、特定の属性に対して耐性を持っていたり、逆に弱点となっている場合がある。
他にも敵に「毒」を付与する、威力が2倍になるなどの特殊効果のついた攻撃方法もある。

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・騎兵は「貫通」を弱点とするため、「貫通」属性の槍で待ち構えて迎撃する

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・敵を蔦で絡め取るエルフの技。攻撃力や移動力に影響を与える

更には「時刻」の概念があり、「秩序」に属するユニットは日中の間、「混沌」に属するユニットは深夜の間、それぞれ攻撃力が増加する。
逆に得意な時間帯でない間は攻撃力が減少してしまうため、攻勢を仕掛けるタイミングも重要になってくる。

wesnoth09.jpg
・混沌の代表格であるアンデッド族。ゾンビどもで地平を埋め尽くせ

このように緻密に個性付けされたユニット達をどのように戦略に組み込んでいくかが、『The Battle for Wesnoth』の面白さのひとつである。


このほか、多くの戦略シミュレーションゲームで採用されている「索敵」や「ZOC」(Zone of Control)の概念も存在する。
「ZOC」とは、一言で言えば”敵のユニットの横は通り抜け出来ない”というルールである。

wesnoth10.jpg
・1マス跳びの隊列でも「ZOC」が効いているため、奥に侵攻できない

こうしたシステムはチュートリアルモードをプレイしながら実際に学ぶことができるため、シミュレーションゲームに不慣れな人でも徐々に馴染んでいくことができるだろう。

総じて、キャラクター要素の強い任天堂社の『ファイヤーエムブレム』よりは、システムソフト社の『大戦略』や『マスター・オブ・モンスターズ』に近いシステムとなっている。
戦略シミュレーションゲームとしてはスタンダードなルールにまとまっていると言えるだろう。



ゲーム本編とも言うべきなのが、シナリオを辿りながらマップを攻略していくキャンペーンモードとなる。
国を追われ、邪悪な女王を討伐するため立ち上がった若者の物語「王位継承者」(Heir to the Throne)、
王国を脅かす侵略者達と対峙する「南部防衛隊」(The South Guard)、
王国誕生の起源と足跡を辿る「Wesnoth建国記」(The Rise of Wesnoth)など、
"Wesnoth"というひとつの世界観の中で様々な戦いが繰り広げられる。

wesnoth11.jpg
・正統派長編シナリオ「王位継承者」(Heir to the Throne)

シナリオの種類もバリエーションに富んでおり、いわゆる勧善懲悪的なシナリオばかりでなく、人間族やエルフ族の視点からは敵となる、オーク族や死霊使いたちの視点を描いたシナリオや、”太陽が2つ存在する”という特殊な状況下のシナリオも存在する。

wesnoth12.jpg
・太陽が2つ!?「燃える太陽の下で」(Under the Burning Suns)

キャンペーンモードでは、ユニットを雇用するだけでなく、以前のマップで活躍したユニットを次のマップに持ち越して使用することができる。
敵を倒した際に得られる経験値を溜めることで、より強力な能力を持ったユニットにランクアップすることができるため、先のステージを見越した上で軍団編成をよく練る必要があり、また育成を通してユニット達に愛着が湧くこともあるだろう。



『The Battle for Wesnoth』は、初公開された2003年から現在に至るまで、オープンソース方式で開発が続けられており、誰でも開発プロジェクトに参加することができる。
そして実際に世界中から多数の有志が開発に参加しており、英語・日本語・中国語・スペイン語などを含む30種類近い言語と、Windows・MacOS・Linux・Solarisなどの各種オペレーティング・システムに対応している。

また、インターネットを介して公式サーバーに接続し、世界中のプレイヤーと対戦したり、対戦を観戦したり、キャンペーン・シナリオやマップなどを製作して「アドオン」として公開し、それを他のプレイヤーに遊んでもらう、といった楽しみ方ができるようになっている。

世界中の皆で作り、世界中の皆で遊ぶ。

そんな夢物語のような光景が、このWesnothという旗の下に広がりつつある。

『The Battle for Wesnoth』は、堅牢なゲームシステムと多様なプレイモードを備えたファンタジー戦略シミュレーションゲームの決定版であると同時に、国や言語、オペレーティング・システムの垣根を超えてプレイすることの出来るゲームとして非常に稀有な存在である。
それは単に”無料である”ということに留まらない、”誰しもが自由に遊ぶことのできる”freeなゲームの理想型のひとつを体言していると言えるだろう。

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  1. 2008/07/28(月) 19:31:48|
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がんばれ!菜月さん!:発想の連鎖の先に向かって進め!

今回取り上げる『がんばれ!菜月さん!』を紐解く上では、まず、フリーゲーム開発者コミュニティ「ゲームヘル2000」と、そこで生み出された『えぐぜりにゃ~』について触れる必要がある。

「ゲームヘル2000」は『wisplisp heehaw』などのシューティングゲームを製作した「ヤルハラ」の丼氏によって立ち上げられたフリーゲーム開発者コミュニティである。
そこでの成果物のひとつとして、『Every Extend』を代表作に持つOMEGA氏によって『えぐぜりにゃ~』が製作、公開された。

exeli_00.jpg
・『えぐぜりにゃ~ AGAINST』

『えぐぜりにゃ~』は、ゲームタイトルからも連想できるように、童社のシューティングゲーム『トリガーハート エグゼリカ』の「ワイヤーアンカーで敵を掴み、振り回し、投げ飛ばす」システムを基としたアクションゲームである。
出現する”おやつ”を”アンカー”で掴み、別の”おやつ”にぶつけてやっつけるのが目的となる。

exeli_01.jpg
・アンカー捌きが勝利の鍵

『えぐぜりにゃ~』は、ゲームヘル2000が提唱する「やわらかライセンス」でリリースされている。
この「やわらかライセンス」は、画像素材やアイデアの流用、プログラムの改造などを許可するもので、ゲーム製作者に柔軟な発想を呼びかけるライセンス形態となっている。

exeli_02.jpg
・『えぐぜりにゃ~縦シュー』。『えぐぜりにゃ~』改造版のひとつ



さて、ここからようやく『がんばれ!菜月さん!』の話である。

『がんばれ!菜月さん!』も、やわらかライセンスによる『えぐぜりにゃ~』の改造版のひとつとして、ゲームサークル「あるふぁ~秘密基地」によって製作された。

natsuki_00.jpg


ところが『がんばれ!菜月さん!』と『えぐぜりにゃ~』の共通点はもはや”アンカー”と”おやつ”しか残っておらず、別物のゲームといっても差し支えないほどの物になっている。
まず、『えぐぜりにゃ~』は原作のシューティングゲームのテイストを残した作品であったが、『がんばれ!菜月さん!』は”ジャンプとアンカーを使い、おやつを全て集める”というパズルアクションとなっているのである。

『えぐぜりにゃ~』で敵を掴むために利用していたアンカーは、『がんばれ!菜月さん!』ではブロックを掴んで、その場所を軸に移動するために利用する。
このアンカーを使った移動アクションが『がんばれ!菜月さん!』の肝となる部分である。

natsuki_01.jpg
・アンカーを打ち込む

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・打ち込んだ場所を軸にして、ぐるんと大回転

ジャンプとアンカーを駆使できるようになれば、正に縦横無尽の流れるような動きを実現することができる。
『がんばれ!菜月さん!』は戦闘アクションではないが、自由自在に動き回るというアクションゲームの快感が凝縮されている。
往年のゲームに詳しい人間ならば、『海原川背』や『ヒットラーの復活 トップシークレット』などのワイヤー・ラベリング・アクションを思い起こす向きもあるだろう。

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・アンカーを使って振り子のように移動

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・ジャンプで跳んで、すかさずアンカーを別の場所に打ち込み直す!

natsuki_05.jpg
・再び振り子移動で先に進む。気分はターザン

また、全50面のステージ構成もパズル性に富むものになっている。
アンカーの使い方如何でステージクリアへの道順はいくつもあり、究極的にはほとんどのステージでジャンプを使うことなくクリアすることも可能となっている。
クリアタイムやジャンプ回数は記録され、リプレイ機能も備わっているので、全面クリア後も華麗なアクションの追及に勤しむことができる。

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・ワイヤーの長さに気をつけないと、針に刺さるぞ~

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・垂直な壁だってワイヤー1本で登っちゃいます


『トリガーハート エグゼリカ』から『えぐぜりにゃ~』へ。
そして『えぐぜりにゃ~』から『がんばれ!菜月さん!』へ。
その留まる所を知らない発想の連鎖には驚愕を禁じえない。

そして、その発想の生まれた源泉であり、近年のフリーゲーム界に見られる傾向として、「3分ゲーコンテスト」や「ゲームヘル2000」のようなゲーム開発者同士によるコミュニティの形成がある。
このようなコミュニティの活動に、今後のフリーゲームの新たなる発展の可能性を期待したい。



願わくば、フリーゲームが
企業による商業作品では決して見られないような自由な発想と鋭く尖った個性、
アイデア倒れに終わらない本質的で絶妙なゲーム・バランスを備え、
なによりビデオゲームに対して真摯で、カジュアルな「暇つぶし」とは呼ばせないだけの情熱を持った、
真に自由な”フリーゲーム”であり続けるように。


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  1. 2007/07/31(火) 00:14:59|
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E-Mail:tacashi11@hotmail.com
ゲームを通じることでしか言葉を紡げない不器用な男

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